いま世界は大きな変革期を迎えていると言われています。
物質に重点を置いた時代は近代合理主義による高度成長期の終焉とともに崩壊し、代わって日本の伝統・文化を根本とする心の時代へと大きく変革しているのではないでしょうか。八女福島仏壇は江戸後期にその起源を持ち、その独自の技法により九州のみならず、全国の仏壇産地に大きな影響を与えてきました。
明治18年、初代鶴重一は仏壇木地職人として生業(なりわい)をはじめ、二代目鶴貞次は広く職人としての技を認められ多数の弟子を持つに至りました。
その系譜を脈々と受け継ぎ、私にとって師匠でもある父が、高度成長期の昭和40年に「鶴仏壇店」として大正町に開店、後に清水町交差点、今の本店がある場所に移転しました。その後、車社会への移り変わりに伴いまして、広川町3号線沿いに駐車スペースを広く取った「おぶつだんの仏匠」を開店致しまして、はや十数年が過ぎました。この間、お蔭様で仕事も順調に進展してまいりましたが、ひとつの節目として、新しい挑戦を致したいと考えています。
自然災害が多発し、かつてない混迷をむかえ、先行き見えない不安感や閉塞感に際悩ませられている、そんな時代だからこそ仏壇という枠組みにとらわれずに、新しい祈りの空間を提案したいと考えています。
お盆やお正月など、日常生活の中で家族と一緒に行う宗教的な行事が失われつつあるという、そんな家族の繋がりの希薄化について非常に危機感を感じています。ぜひ仏壇の在り方を考え直していただき、家族の心の拠り所として、お仏壇に手を合わせることを普通に生活の一部として家族全員に生活してもらいたいと思っています。
まだまだ未熟ではございますが、皆様のご教示を得まして年々、一層の充実を計りたいと思います。今後ともご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
有限会社 鶴仏壇工芸仏匠
昭和40年
昭和45年
平成6年
平成16年
平成18年