現在のような仏壇の形式が生まれたのは江戸時代とされます。お寺を家庭に持ちこみ、いわば現世と浄土を媒介する「小さな寺院」として出来るだけお寺に近い形式で祀ろうとしたのです。
基本構造は箱型の製品の中で段を持つことですが、その段とは本尊を安置する須弥壇で、諸仏がいる須弥山、すなわちサンスクリット語のスメール(sumeru)の観念に基づいてつくられた仏・菩薩のための台座です。
須弥山は古代インドの世界像において、宇宙の中心に位置し、天・地・地下を結ぶものであり、インドの神話によれば、帝釈天(インドラ)の座所とされていました。それがどのような経緯を得て、仏陀や菩薩の座所となったのかについては明らかではありません。
ただいずれにしろ、インドの神話における須弥山の観念が、仏像礼拝の発達とともに仏教にも浸透した結果、仏陀の座所とされるにいたったのだと考えられています。